サロンでお客様と向き合う中で、よくいただく質問やご相談にお答えしてきたこのシリーズ。 今回は少し視点を変えて、美容師としてちょっと「突っ込んだお話」をさせてください。
「この前買った最新の高級ドライヤー、すごく良いんだけど…もっと毛先に潤いが欲しくなって、別のドライヤーもお試しレンタルしてみたの」 「先月やった新しいトリートメント、すごくまとまるんだけど、もっと良いトリートメントってないかしら?」
プロの目から見ると、髪にはしっかりツヤもあり、まとまりも手触りも「完璧!」と言える素晴らしい状態です。思わず「いやいや、今の状態でも十分すぎるほどキレイですよ!」とお伝えするのですが、なぜかお客様ご自身は物足りなさを感じてしまっている…。
実はこれ、髪そのものの問題ではなく、「人間の心理作用」や「情報の受け取り方」が深く関係しているんです。少し深いテーマですが、髪のお手入れで行き詰まらないための大切な考え方をお話ししますね。
なぜ人は「もっと、もっと」を求めてしまうのか?
「髪が良くなったはずなのに、満足できない」と感じる背景には、主に2つの理由があります。
1. 人は感動に「約2週間」で慣れてしまう(順応の心理)
人間の脳は、環境の変化に素早く適応する仕組みを持っています。 初めて新しいトリートメントを試した日や、高級ドライヤーを使い始めた日は「すごーい!ツヤツヤ!」と感動しますよね。しかし、10日〜2週間もすると、その『最高の状態』が『いつもの日常(当たり前)』に変わってしまいます。
髪が悪くなったわけではなく、単に「目が慣れてしまった」だけなのですが、人は無意識に「もっと潤うのでは?」「もっと良いものがあるのでは?」と次の刺激や効果を追い求めてしまうのです。
2. ネットやSNSで「作り込まれた理想の髪」を見すぎている
スマホを開けば、SNSには「ツヤッツヤで絹のような美しい髪」の動画や写真があふれています。 しかし、あれらの多くはプロが仕上げ直後にアイロンで完璧に面を整え、特別なライティングやオイル、時には画像加工を施して撮影された「奇跡の一瞬」です。
画面の中の「過剰な完成形」を日常の基準にしてしまうと、現実の自分の髪がどんなに healthy(健康)で美しくても、「なんだか負けている気がする」と錯覚してしまうのです。
シャンプーや美容院をコロコロ変えてしまう罠
この「慣れ」と「過剰な理想」が重なると、どうなるでしょうか?
「今のシャンプーに慣れたから、もっと効きそうな別のシャンプーに変えてみよう」 「あの美容院のトリートメントに満足できなくなったから、別の美容院へ行ってみよう」
このように、シャンプーを頻繁に変えたり、美容院を転々としてしまう「ヘアケア難民」になってしまう方が少なくありません。
もちろん新しいものを試すワクワク感は楽しいものですが、美容師として正直にお伝えすると、美容院やケア方法をコロコロ変えるのは、実は髪にとって一番の遠回りになってしまうことがあります。
では、どうすればいい?理想の髪を保つ3つのアドバイス
髪の迷子にならないために、そして自分史上最高の髪を育てるために、ぜひ次の3つのことを意識してみてください。
① 「過去の自分の髪」と比べてあげる
ネットの誰かの髪や、加工されたSNSの画像と比べるのを一度やめてみましょう。 思い返してほしいのは、「お手入れを本格的に始める前の、半年前や1年前の自分の髪」です。「そういえば以前よりパサつきが減ったな」「朝のアイロンの時間が減ったな」と、過去の自分からの進歩を認めてあげることが、心の満足感につながります。
② 美容院に「通い続けて髪の履歴を育てる」
美容師が一番お客様の髪をキレイにできるのは、「そのお客様の髪をずっと担当し、履歴と髪質を深く理解しているとき」です。
- 施術履歴の把握: 過去どんなカラーやパーマをしてきたか
- 髪質の癖の理解: 季節ごとの変化や、濡れたとき・乾いたときの立ち上がり
- ライフスタイルの共有: 普段のスタイリングの癖やお手入れにかけられる時間
これらは、1回や2回通っただけではプロでも完全に把握しきれません。同じ美容室に続けて通っていただくことで、過去のカルテをもとに「今のあなたに本当に必要なケア」や「やりすぎ(オーバーケア)を防ぐ引き算のアドバイス」ができるようになります。

③ 「やりすぎない(引き算)」もプロのアドバイス
「もっと良いトリートメントを!」と成分を与えすぎると、逆に髪が重くなってベタついたり、乾きにくくなったりすることもあります。 サロンに来ていただいた際には、単に新しいメニューを足すだけでなく、「今のケアでバッチリだから、このままキープしましょう」「今はこれ以上足さない方がキレイですよ」といったプロならではのブレーキ(引き算のアドバイス)も定期的にお伝えしています。
まとめ:あなたの髪は、もう十分に素晴らしい!
「もっとキレイになりたい」という美意識はとても素晴らしいことです。 けれど、ふとした時に「自分の髪、結構いい状態かも!」と今の髪を褒めてあげてくださいね。
「最近、自分の髪の状態がよく分からない」「今のケアで合っているのかな?」と迷ったときは、ぜひホスジャンプのスタイリストにご相談ください。あなたの髪の歴史を一番よく知るパートナーとして、寄り添ったアドバイスをさせていただきます!
※記事内でご紹介した使用感や効果の感じ方には個人差がございます。 ※本記事に使用している図解画像は、内容を分かりやすくお伝えするためにAI(人工知能)を用いて作成したイメージ画像です。
